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【世界史】 古代ギリシア文明 アテネとスパルタ。

このお話は「ポリスの成立。」の続編です。

 

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 モノ言う動物。

どこのポリスでも、市民は奴隷を所有していた。

奴隷とは、戦争で捕虜となった敵の兵隊や、奴隷商人が外国で捕まえたか買ってきた異民族、もしくは借金で首が回らなくなり、体で返すしかなくなった「元市民」がなるものである。

あまりにも有名なギリシアの哲学者アリストテレス奴隷はモノ言う動物と表現しているように、金銭で売買され、生殺与奪権はすべて主人が握っている。主人に代わってありとあらゆる「仕事」を任されていた。炊事洗濯など主人の家の世話、農作業や鉱山掘削、家庭教師や医者、ガレー船(戦艦)の漕ぎ手などなど。

 

アテネ

イオニア人が建てた有力なポリスのアテネ。面積は約2650㎢で、佐賀県程度の広さを支配していた。アテネ市民の人口は、最盛期で約3万人。その家族など「自由人」は総勢約12万人程だった。

奴隷制が非常に発展していた。その数およそ8万人。

市民でもなく奴隷でもない存在としてメトイコイ(在留外国人)がある。約3万人がアテネで生活していた。

 

ほとんどの仕事を奴隷たちにやらせ、市民たちは、戦争中でなければもっぱらアゴラ(広場)に集まって何か議論に熱中していたという。

毎日、暇つぶしに議論を重ねていると、それが次第に高度な哲学へと昇華していった。

ソクラテスプラトン、そしてアリストテレスといった、現代に通じる西洋哲学の基礎を築き上げた賢者たちがアテネで活躍した。

奴隷制度が哲学を発展させたと言っても過言ではないだろう。

 

スパルタ。

ドーリア人が建てた有力なポリスのスパルタ。面積は8400㎢で広島県程度の領域を支配していた。

 

身分制度

ドーリア人は鉄器を携えてギリシアに侵入した戦闘集団である。原住民のアカイア人を制圧して奴隷とした。スパルタでは奴隷身分をヘイロータイと呼んだ。その数約5万人。主に農業に従事させられていた。

 

ヘイロータイに対し、スパルタ市民はスパルティアタイという。1万人弱しかいなかった。その家族を含めた自由人は、総勢約5万人。

 

他にも、同じドーリア人でありながら、何らかの理由でスパルタ市民に支配されるようになったペリオイコイ(周辺の民)と呼ばれる地位のものもあった。人口は約2万人。スパルタ領内で自由に居住していた。

スパルタ市民ではないが「自由人」である。主に商工業に従事していた。戦時には戦争に参加させられたが、スパルタ市民ではないので参政権はない。

 

征服型ポリス。

そして前7世紀初め頃、隣国のメッセニアへ侵攻し、この地を征服した。だからほかのポリスと比較してかなりの広範囲を支配する強大なポリスだった。

アテネを代表する「シノイキスモス」から発展した集住型ポリスと違い、周辺を征服することで発展したポリスなので征服型ポリスと分類されている。

 

スパルタ教育。

市民の7倍以上もの被支配民を維持しなければならないスパルタでは、独特な制度が発達した。リュクルゴスの制という。

男子は生まれてすぐに長老会のもとに引き出され、泣き声が弱かったりひ弱だったら、山奥の洞窟に捨てられてしまう。

生まれて間もなくの厳しい試練を乗り越えた男子たちは、7歳になると宿舎に集められて生活することになる。そして30歳になるまで毎日軍事訓練に明け暮れる。しかも通年素っ裸である。

30歳になるまで、基本的に宿舎から出ることはできない。しかし20歳になると結婚する権利が与えられた。彼らは夜中にこっそり宿舎を抜け出し、妻を設けて愛を育むのだ。

彼らの戦闘訓練の中に「ヘイロータイ殺し」というものがあった。

数名の精鋭が選ばれ、短剣とわずかな食糧だけを与えらえてヘイロータイの村へ向かわせる。彼らは昼の間はどこかに隠れていて、夜になると村へ進入し捕まえたヘイロータイを殺すという訓練である。

 

全ては戦いに勝つため。

スパルタ市民は結束力を強化するため、宿舎での共同生活以外にもいくつかの制度を設けている。

2人の王を選出し、60歳以上の市民から28名の長老が選ばれ、長老会が組織されて政治が執り行われた。

また土地が均等に配分され、鎖国政策が敷かれた。外国から魅力的なものが入ってきて、市民が堕落するのを恐れたのだ。

同じ理屈で、金・銀貨が廃止された。

これも結束力の強化を目的とした一環だが、男同士の恋愛が奨励された。愛する者同士が同じ隊にいれば、戦いのときにお互いを必死で守りあうだろう。

恋愛までもが、戦闘民族としての大きな手段だったのだ。

 

ちなみに、愛の天使キューピッドは、ギリシアではエロスという名の神だったが、これは本来は男同士の愛を成就させる神だったのだ。

ちなみのちなみ、男女の仲を取り持つ神は、ヴィーナス(アフロディーテという女神が担当していた。

 

全てを戦いに特化させたスパルタ。いつの間にかギリシア最強のポリスに成長していた。

そして前6世紀末、周辺のポリスを束ねてペロポネソス同盟を結成、その盟主となった。

 


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