帰宅の電車内のことである。
向かいの席に女子高生が座っていて、単行本を読んでいた。
おや、何を読んでいるんだろうとタイトルを見たら「堕落論」(坂口安吾著)だった。
社会科の教員なんかやってておきながら、そういえば坂口安吾は読んでなかったと反省し、その足で神保町の本屋街を目指した。若造に負けてはいられない。
果たしてすぐに目的の本が見つかったので、隣に並んでいた「一房の葡萄」(有島武郎著)も衝動的に棚から取り出し、キャッシャーに突進した。
カバーをつけていただいたので、ぱっと見どちらがどちらかわからない。
よし、先に開いたほうから読もう。そして開いたのは「一房の葡萄」。
一編10数ページの短編集である。6編収録されている。
これは有島武郎自身の体験談なのだろうか。ある子供の体験談が綴られている。
最後の2編、「火事とポチ」と「小さき者へ」。恥ずかしながら、読みながらボロボロ泣いてしまった。
お子さんがいる方なら、もしくは、俺のように、もう会えないお子さんがいる方なら、きっと共感してくれるものと思う。
ちなみに「堕落論」はまだ読んでいる途中なので、近いうちにレビュー書きます。