まずはこちらのサイトへ。
リンク先の
で「Ptlemy」というソフトがダウンロードできます。有料です。
このソフトがとても優秀で、地図を自由な投影法で自由なサイズで切り出すことができます。
今回はローマ帝国の最大版図を作成したいので、その辺の地形を投影します。
こんな感じで自由に投影したい地域を映し出せます。今回は比較的高緯度地域なので、デフォルトの「接円錐図法」を使用しています。
この地図が最終的には
このように変身します。
要素の抽出
まず、Ptlemyで投影した地図を、地形や河川、経緯線といった要素ごとに保存します。
要素ごとに分けないと、加工する際とても煩雑になってやってられません。
「Ctrl + k」で
このような小窓が出るので、これで任意の要素だけを表示することができます。
拡張子は「.EPS」(ポストスクリプト)で保存しましょう。ベクトル画像として保存できます。
こんな感じで要素に分けます。
後にこれらの画像を「Adobe illustrator」で加工します。
ただし、最後の「標高」を抽出した画像だけ、「Adobe Photoshop 」で加工します。
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ちなみに自分がずっと愛用しているのは「Adobe Illustrator CS2」です。
もうサポート対象から外されてますが、まったく遜色なくWindows10上で動いてます。
Photoshopは「CS4」を活用してます。
Adobe Photoshop CC 2017年版 |12か月版|オンラインコード版
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いざillustratorへ
抽出した画像を「illustrator」で立ち上げます。例えば「地形」なら
こんな感じ。
まずはいらない要素を排除していきます。すべてのパーツがクリッピングマスクされていたりグループ化されているので、それらを全部取り除きます。
特に「湖沼」の要素の中にある「塩湖」ですが、クリッピングマスクを外すとこんな感じなります。
「Ptlemy」のデフォルトではオレンジではなく白なのですが、白だと全く見えなくなってしまうので、あえて色の濃いものに変換しました。
全くいらない要素なので、この時点でオレンジの点を排除します。
このとき、たぶん「陸地」がいいと思いますが、クリッピングマスクをはずした後、「枠」がまだ残っているはずなので、これを別のレイヤーに移しておきましょう。後で「海」を挿入したり、そのまま地図の「枠」としても活用できます。
その後、残った必要なパーツを全部「パスファインダ」で一つのパーツに結合してしまいます。
ただし、河川とか経緯線とか、線だけの画像は「グループ化」しないほうが使い勝手がいいかもしれません。
下処理が終わったら、すべての画像を1枚のウィンドウに統合します。その際、各要素は別々のレイヤーに置きましょう。
こんな感じになるはずです。
あとは各要素を加工していきます。
湖は「穴」にしたい。
これはもう自分の趣味なんですが、地形に影を付けて、なおかつ湖にも影を入れたい。
そのために、無駄な地形の加工を施します。
「地形」のレイヤーに「湖沼」を「前面に張り付け」ます。こんな感じになります。
以降、およそすべてのコピーは前面に張り付けで行ってください。普通にコピペすると元の画像とずれてしまいます。
次に「パスファインダ」で「形状エリアから前面オブジェクトで型抜き」すると、湖が白くなったのがわかると思います。
こうしてできた地形に影を付けると、
こうなります。湖にもちゃんと影が落ちています。
ちなみに影のつけ方は「効果タブ → スタイライズ → ドロップシャドウ」でつけられます。影の大きさとかずれ方とかは、適宜お好みで調整してください。
確認できたら、いったん影は削除します。
参考資料を探そう
ここからは先人のお知恵にすがります。
この時代の歴史地図、グーグル先生にお願いして画像検索してもらえばいくらでも出てきます。
その中から使えそうなものをいくつかお借りしてきます。
今回は、こちらのサイト他いくつかの歴史地図をお借りして参考にさせていただきました。
まず、湖で穿った陸地、河川、国境を全部コピーして、一枚のレイヤーに移します。
その上に先ほど拝借した歴史地図を別レイヤーで重ねて半透明にします。
こんな風になると思います。この画像では参考にさせていただいた地図を2枚重ねています。どちらも斜めになっていますね。そして画像の縦横比もオリジナルと変わっています。
なぜなら、「Ptlemy」から切り出した地図と、他のすべての地図がぴったり重なることはまずありえないからです。
すべての地図は、地形投影法も切り出すときの中心もサイズも違います。だから、ただなぞって写し取ろうとしても、そんなこと不可能なのです。
手書きでトレース
というわけで、縦横のサイズを変え、斜めにして、まずどこか一部分を加工した地図と合わせて上から「鉛筆ツール」でなぞっていきます。
少し進むとずれてくるので、また角度を変え、移動させ、ぴったりあったところでなぞるのを繰り返します。
画面もクローズアップしないときれいになぞれないので、目いっぱい寄ります。
かなりの根気と時間を要する作業です。
必要な分なぞったあと、参考にした地図を消すとこんな感じ。ちょっとわかりにくいかな?
次に、書き込んだレイヤーをすべて選択して、「ライブペイント」。
各領域をお好きな色で色分けしてください。例えば
こんな感じ。
仕上げ
色を付け終わったら、「ライブペイント」を解除、グループ化も解除。
それぞれの色のパーツを別レイヤーに「前面に張り付け」ます。
あとはそれぞれのパーツをお好きなように加工してくださればOKです。
自分の場合は、中央に向かってボケていく縁取りをしたかったので、かなり面倒な加工を施しています。
こんな感じです。不透明度80%にもなっています。
最後に、先ほどまだ加工していなかった
これだけはいったん「illustrator」で立ち上げた後、「ファイル → Microsoft用に保存」で「.PNG」に落とします。
その後改めて「Photoshop」で立ち上げ、画像の白い部分を消去します。
「選択範囲 → 色域指定」でどこでもいいから白い部分をポイント。
「編集 → 消去」で白い部分が削除されます。
「上書き保存」して終了してください。
「illustrator」に戻り、新しいレイヤーに、今さっき「Photoshop」で加工した画像を貼り付けます。
この時だけは普通に「貼り付け」でOK。張り付けた後に、「枠」に合わせて整列させます。
最後に、出来上がった各パーツを表示させ、お好みで「海」なんかも書き込み、「都市」とか「記号」とか「解答欄」とか「タイトル」とか書き込んだら完成です。
結構きれいに仕上がったと思いませんか。作った本人はご満悦です。(笑)
工程はいくつもの段階に分かれ、かなり大変です。慣れるまでは相当時間がかかると思います。
実際、自分は全部独学でここまでできるようになりましたが、この域に達するまでに3年近くかかりました。
そして今でも、1枚完成させるのに8時間以上かかります。
もはやほとんど趣味の世界ですが、学校教材としても、ウェブに乗せるイラストとしても、使い勝手は結構あると思います。
興味がわいた方はぜひチャレンジしてみてください。