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【糖尿病】あと2年は働けるのか

このお話は「仕事を干される」の続編です。

 

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仕事振ってくんなオーラが出ているらしい。 

6月、また校長に呼び出される。

「まあお座りください。報告では毎日6時過ぎには帰ってしまうようですが、いったいどういうことでしょう。」

そういわれても、何もやることはないし、特に止められもしなかった。返答に困っていると「あなたのその仕事振ってくんなオーラ!」と怒鳴られた。

もう怒鳴られるのには慣れてしまったが、「いや、そんなつもりはないです。」と答えるくらいしかない。どうしろっていうんだ。

仕事というのは人から奪うものです。自分でできそうなことが見つかったら、担当者がやる前にやってしまって結構。そうしなければ、あなたの評価はいつまでたっても上がりません。」なんて続けられた。

恐れ多くも教師を名乗るものが、人から何かを奪うわけにはいかない。そうでもないのかな。

それでも、そう校長が言うのなら従うしかない。とはいえ、誰からどんな仕事を奪えばいいんだろう。

授業はきっちり担当が決まっている。今さら「俺が代わりにやります。」なんていうものではない。

部活指導?そもそも運動は苦手。特に球技はからっきしである。

音楽だってまるで経験がない。

バレー部はずしておいて、何言ってるんだろう。

これ以上怒られるのも嫌だし、人から何かを奪うのも嫌だ。しかたないので、とりあえず19時過ぎまでは学校に残ってよう。

 

どう答えれば正解だったのか。

しばらくすると、また校長から召喚される。

今度は「あなたは仕事を奪われたと思っている。そう認めた方がいっそすがすがしい!」と怒鳴られた。

全くその通りだと思っているが、「(はい。おっしゃる通りです)」なんて言えるはずもないだろう。

本当に返答に困ってしまった。

そしてまた呆れられ「もうだめですね。わかりました。残念です。」と。

おや、これはやわらかくクビを宣告されたってことだろうか。

しかし、不思議なことになんとも思わなかった。もう疲れてしまった。どうでもいい。

 

ほどなくして事務長から呼び出された。「契約のことなんだが、3年契約だったことにしてくれないか。」と提案される。

そもそも採用の初年度は、どこの学校でも専任講師という立場で1年契約である。

その後大きな問題も起こさず、まじめに仕事していれば、晴れて専任教員として本採用される手はずになっている。

採用初年度であれだけ校長を怒らせたのだ、2年目があっただけでも儲けものだったのかもしれない。

とはいえ、俺自身はまさに滅私奉公と言えるくらい仕事してきたと思っている。

ただ、それが校長の考える仕事の仕方とは大きく違っていたのだ。

面白いのは、1年でクビにならず、2年目があったことだ。そして2年目の最中に「3年契約」ということにされるのだ。

つまり、ここまで校長に疎まれながら、なぜか来年度の保証までされてしまったのだ。

これはいったいどういうことなんだろうか。まるで理解できなかったが、一つ確実なのは、この提案を拒否したら来年度はないということだ。

選択の余地はない。「わかりました。ありがとうございます。」そういって契約書にサインした。

 

人とは順応する生き物である。

これ以降、校長に呼び出されることはなくなった。

人から仕事は奪えないので、とりあえず目の前で自分にしかできないことをしようと思った。

すなわち、授業で使える教授資料の作成である。

なるべく派手なのものがいいだろう。俺にしか作れない資料といえば、自作の歴史地図くらいしかない。

 

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イラストレーターをとても高かったが購入し、完全に独学で操作方法を学んだ。

「窓際族」とはいえ、それなりにしなければならない仕事はある。それをこなした後、歴史地図の作成にかかるのだが、1枚作るのに10時間以上かかるので、これでかなり時間が稼げた。

放課後夢中になって作業していると、あっという間に21時を過ぎていた。

地図作成作業は学校だけで終わらず、ほとんど毎日家に持ち帰って遅くまで続けた。

こうして完成した歴史地図を、エクセルを利用して巨大化させる。

A3サイズで換算して16枚から20枚という巨大さだ。

これをカラーで印刷し、余白を切り取ってノリでぺたぺた貼り合わせる。

放課後の、まだ子供たちの残っている教室で、興味深そうに寄ってくる子供たちと談笑しながら、切ったり貼ったりしていた。

完成すると、黒板の半分が隠れるほどの巨大なオリジナル歴史地図に仕上がる。

これを見た子供たちは、とても驚き、かつ喜んでいた。

とはいえ、1枚の歴史地図なんかせいぜい授業2回分くらいしか使用しない。だからすぐに新たな地図の作成に取り掛からなければならない。

結構な労力である。

 

気が付けば、程よく忙しい毎日。そして特に大きな問題も起きないまま、年が明け、最後の年度を迎えた。

 

この話は次回へ続く。

 

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