このお話は「初めての通院 その2」の続編です。
身長168センチ、体重73キロ。
太っている。
診察の結果、俺は二型糖尿病。つまり、運動不足や食いすぎといった不摂生が原因で陥るタイプである。
確かに、その頃は毎週2回は同僚と飲んでいた。脂っこい料理が大好きだった。ゲームオタクだからまず動かない。
加えて、父方の祖母はすい臓がんで亡くなっている。そして実の母親が糖尿病である。
両親どちらも遺伝子に「お前の尿ははちみつ味」と刻み込まれているのだ。
「若年性糖尿病」にならなかったのは、ただ単に運が良かっただけ。それなのに、俺はその幸運を「不摂生」という名の欲望で台無しにしてしまった。
「痩せよう」そう肝に銘じた。
まずは食事の量を減らさなければならない。中途半端ではだめだ。
テーマは「葉っぱときのこ」。
肉とか炭水化物、特に炭水化物はほぼ摂らないで生きてみよう。
我ながら、決意は固かった。
主食は「オニオンスライス」。おかずは「こんにゃく」・・・今気が付いたが、こんにゃくは「根っこ」じゃないか。テーマから外れていたが、摂取効果はかなりあったと思う。
朝と昼は自分で作ればいいが、問題は昼食だ。
当時勤務していた学校では、昼食は主に近所のラーメン屋からの出前だった。
よし、「わかめスープ」を注文しよう。これ以降、毎日昼は「わかめスープ」となった。
帰宅すれば、毎日腕立て、腹筋、背筋、そしてスクワット。みるみる太ももが太くなっていく。
入浴中は手を胸の前で合わせ、大胸筋に負荷をかける。湯船につかり、追い炊きしながら限界まで続けた。
これがことのほかカロリーを消費するようだ。
1週間ほど続けたころ、風呂からあがろうとするときにめまいを覚えるようになった。
そして、はっきりと頭から血の気が引いていくのを感じた。
あわてて頭を下に下げると、またはっきりと血が頭に戻ってくる。これは危ないんじゃないかと思いつつも、「脚切断・失明」の脅威はそんな心配を一蹴した。
果たして2カ月後、10キロの体重減に成功した。ズボンなんかぶかぶかである。手のひらを縦にしてつっこんでも、まだ余裕がある。
効果が目に見えると、俄然やる気も上がってくるというもの。
特に入浴中の運動はその後もしつこく続けた。
今となっては思い出話だが、運動するのも、しっかりとした指導者が管理する中でやるのがベストだろう。
本気でスリムアップしたい方、これなんかいかが?
無理な食事療法に無理な運動。その先には何が待ち受けているのか。
そして、「その日」はやってきた。
この話は次回に続く。