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【糖尿病】ナチュラルハイ

このお話は「葉っぱときのこ」の続編です。

 

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その日も、いつものように湯船につかって筋トレに精を出していた。

汗だくではあはあ言いながら、湯船から出て風呂のふたを閉める。

そしていつものように、シャワーで汗を流そうと立ち上がったところを、これまたいつものように、頭から血の気が引いていった。

 

いつもなら、落ち着いて頭を地面に擦り付けんばかりに下げて血液を戻すのだが、この日はうっかり「ああ、今日も血の気が引いていくなあ」と思いながら、上を見上げて目をつぶってしまった。

頭の近くに照明があるので、瞼越しに光がさしてきていたのだが、それがふっと消えて、視界が真っ暗になった。

すると、目の前の暗闇から、いくつもの、打ち上げ花火のような様々な色の美しい光の輪が、いくつもいくつも浮かび上がっては広がって消えていく。

ちょうど、子供のころに図画工作の授業で作成した、様々な色のクレヨンを紙に塗りたくり、その上から黒いクレヨンで全面を塗りつぶす。そして釘などとがったもので黒いクレヨンを削ると、下からカラフルな線が浮かび上がらせる技法の絵。

あれが、波紋のように浮かんでは広がり、消えていくのだ。

それがいつの間にか、まるで自分の体を突き抜けるように、後ろへと飛んでいく。

「なんてきれいな光景なんだろう。そうだ、これ曼荼羅にそっくりだ。」

そんなことを考えながら、気持ちよくいくつもの光の輪を眺めていた。

きっと修行僧たちは、過酷な、おそらくは断食を伴う厳しい修練の過程で意識を失い、俺が見たのと同じものを見たに違いない。

神々しいまでの光のページェント

死後の世界を垣間見てしまったのかと、後になって思った。

 

するといつの間にか、俺は机に向かって難しい数学の問題を解いている。

問題の内容までは覚えてないが、かなり真剣に解こうと頑張っていた。

すると、だんだん腰のあたりが痛くなり、その痛みが耐えがたいほどに強くなっていた。

あまりの痛みに目を開けると、湯船のふたの上であおむけに寝ていた。

「なんでこんなところで寝てるんだ。寒い。痛い」呻きながら風呂場を這い出る。

鏡で見てみたら、腰のあたりに大きな横一文字のあざができていた。

どうやら、立ったまま気を失ったようである。そして背中から湯船に向かって倒れたら、ちょうど湯船のへりに腰が激突したらしい。

風呂桶にふたをかぶせる習慣がなかったら、あの時俺は、頭から湯船に突っ込んだまま、まさに八つ墓村の状態で死んでいただろう。

 

風呂といえば、やっぱり怖いのがダイビングスマホなんか、うっかり落としてぽちゃんといったらもうおしまい。そこでこんな商品。 

 これでうっかりさんも、安心して意識とぶまで長風呂できるというもの。

 

 

この事件以来、もう過度なダイエットはやめることにした。

運動もしなくなり、食事も以前の不摂生なものへと戻ってしまった。

 

しばらくすると、体に思いもしなかった変化が現れ始めた。

 

 

このお話は次回へ続く。

 

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